健康診断結果のココに注目!糖尿病リスクに関わる項目とは?

健康診断結果のココに注目!糖尿病リスクに関わる項目とは?

もしもの時のための保険を備えませんか?

知らない間に徐々に進行し、気づいたときには重い合併症を引き起こすこともある「糖尿病」。糖尿病は放っておくと命にも関わるとてもこわい病気ですが、健康な人と同じように生活の質(QOL)を維持することで寿命を全うすることができます。

そのためには、健康診断で糖尿病のリスクを把握し、予防対策を講じることはもちろん、早期発見・早期治療を開始することが重要です。健康診断の結果から今の自分の糖尿病リスクを知るために、どこに注目すればよいのかを紹介します。

血糖値とHbA1cに注目しよう

糖尿病は、慢性の高血糖が長期間続くと、目や腎臓などに特有の合併症を生じる病気です。診断の基準となる検査項目は血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)です。健康診断結果には、ほかにも糖尿病リスクを高める検査項目がいくつかあります。血糖値だけでなく、これらの検査項目にも注意しましょう。

糖尿病の診断基準となる検査項目

糖尿病の診断に直接関係する血液検査の項目に、「血糖値」と「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」があります。

〇血糖値

血糖値は、血液中に含まれるブドウ糖の量を示すものです。健康診断では、主に空腹時血糖値(食後10時間以上)を測定します。空腹時血糖値は100mg/dL未満が「正常型(正常な値)」とされます。反対に「糖尿病型(糖尿病が強く疑われる値)」とされるのは126mg/dL以上です。

一方、正常型と糖尿病型の間の数値に、「正常高値(100〜109mg/dL)」と「境界型(110〜125mg/dL)」の2つがあります。これは、糖尿病の可能性が否定しきれないため、ブドウ糖負荷試験という検査を受けることが推奨されます。

ブドウ糖負荷試験とは、水に溶かしたブドウ糖を飲んで、その後の血糖変動を調べる検査です。一般的には、ブドウ糖75gを使い、30分、1時間、2時間後の血糖値を測定します。糖尿病の診断に用いられるのは主に2時間後の血糖値で、140mg/dL未満が「正常型」、140〜199mg/dLが「境界型」、200mg/dL以上だと「糖尿病型」とされます※1、2

血糖値検査数値の見方

  空腹時血糖値 ブトウ糖75g摂取2時間後血糖
正常型 正常 100mg/dL未満 140mg/dL未満
正常高値 100~109mg/dL
境界型 110~125mg/dL 140~199mg/dL
糖尿病型 126mg/dL以上 200mg/dL以上

「糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告」※2より作成



〇HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)

HbA1cは、血液中のヘモグロビンというタンパク質にどの程度「糖」が結合しているかをあらわす検査値です。糖尿病の人にとっては血糖値と同じくらい重要ですが、健康な人にとってはあまりなじみがないかもしれません。

HbA1cは、5.6%未満が「正常型」、6.5%以上が「糖尿病型」とされます。5.6%〜6.4%の場合は、糖尿病の有無を確認するため、ブドウ糖負荷試験などによる血糖値測定を行うことがあります。

なお、病院によっては健康診断の検査項目にHbA1cが含まれない場合があります。事前にHbA1cの測定を行うかどうか、含まれていない場合には追加検査が可能かどうかを聞いてみましょう。

糖尿病との関係が深い検査項目

血糖値やHbA1cのほかにも、糖尿病リスクを知る指標となる健康診断項目があります。糖尿病は、糖を分解するインスリンというホルモンが出にくくなったり、インスリンの効きが悪くなったりして血糖値が高くなる病気です。このうち、インスリンの効きが悪くなることを「インスリン抵抗性」といいますが、その最大の原因は肥満であると考えられています。

〇BMI

BMIは肥満の度合いをあらわす数値です。日本肥満学会の基準では18.5以上25未満が「普通」、25以上が「肥満」とされます。健康診断結果にBMIの数値が記載されていない場合には、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出することも可能です。

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〇腹囲

腹囲は内臓脂肪量をあらわす数値です。内臓脂肪が増えるとインスリン抵抗性を引き起こす悪玉物質が増えるため、血糖値が上昇します。

男性では85cm以上、女性は90cm以上であれば、内臓脂肪蓄積と判定されます。

〇血中脂質

肥満になると、多くの場合、血液中にある脂質の量が増えます。その指標となるのがLDLコレステロール(悪玉コレステロール)やHDLコレステロール(善玉コレステロール)、中性脂肪(TG)です。基準値は次の通りで、LDLコレステロールや中性脂肪は高い値が、HDLコレステロールは低い値が問題で、動脈硬化が進み心筋梗塞を起こしやすくなります。

血中脂質の基準値

LDLコレステロール 60~119mg/dL
HDLコレステロール 40mg/dL以上
中性脂肪 30~149mg/dL

「2022年度 判定区分表」※3より作成



〇肝機能

肥満になると、中性脂肪が肝臓にたまって脂肪肝となり、肝臓の機能が低下し、放置すると肝硬変や肝がんが生じることがあります。肝機能を調べる検査項目としては「AST」「ALT」「γ- GTP」の3つが一般的です。

肝機能の基準値

AST 30U/L以下
ALT 30U/L以下
γ-GTP 50U/L以下

「2022年度 判定区分表」※3より作成



〇尿糖

尿のなかに糖があるかどうかを示す「尿糖」も糖尿病リスクの有無を判断するうえで重要な項目で、一般的に血糖値が160〜180mg/dLを超えると糖が尿中に出てくるといわれています※4。尿糖が陽性の場合には医療機関を受診するようにしましょう。

健康診断の前だけ節制すれば問題なし!?

健康診断の前日に「食事を抜く」「お菓子をがまんする」という人がいます。この前日行動は健康診断の数値に影響するのでしょうか?残念ながら、糖尿病リスクに関する項目は、一朝一夕の努力では意味がありません。

HbA1cは、血液中の糖の状態を確認する点では血糖値と同じですが、両者には大きな違いがあります。血糖値は、採血時の状態を示す数値です。飲食の前後で大きく変動し、測定のタイミングが重要になります。一方、HbA1cはおよそ2カ月間の平均的な血糖値を反映するといわれています。長期的な血糖値が検査数値となるため、健康診断の前日に節制しても、反対に健康診断直前だけ暴食をしても、検査結果には大した影響はないのです。

生活習慣の見直しで糖尿病リスクを減らす

健康診断で項目の異常があった場合は、医療機関を受診するとともに、生活習慣を見直すことが大切です。糖尿病などの病気は生活習慣病と呼ばれますが、その名の通りほとんどは日々の生活習慣の積み重ねによって発症します。次の生活習慣を心がけましょう。

糖尿病リスクを減らすために見直すべき生活習慣

ダイエット 糖尿病予防に最も効果的なのが減量
食事の見直し 食事内容と量だけでなく、回数・時間、食べる順番も大切
運動習慣 無理のない運動を毎日継続しよう
禁煙 タバコは糖尿病のリスクを高める
ストレス解消 ストレスは血糖値を上げる要因になることが知られている

ときどき健康に目覚めて節制するのではなく、できるだけ早く生活習慣そのものを見直し、糖尿病になるリスクを減らしましょう。とくに境界型の人は、その後の生活習慣によって「糖尿病になるかならないか」という大きな違いが出ます。

ここがポイント

  • 糖尿病リスクに直結する健康診断項目は血糖値とHbA1c
  • 内臓脂肪型肥満に関する項目にも注意が必要
  • 健康診断の直前に節制しても意味はない
  • 生活習慣そのものを見直すようにしよう

引用・参考資料

※1 日本糖尿病学会:糖尿病診療ガイドライン2019.南江堂,2019.
http://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4(2022年4月13日閲覧)


※2 清野裕ほか:糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告 (国際標準化対応版).糖尿病,55:485−504,2012.https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/55/7/55_485/_pdf/-char/ja(2022年4月13日閲覧)


※3 人間ドック学会:2022年度 判定区分表
https://www.ningen-dock.jp/wp/wp-content/uploads/2013/09/2022hanteikubun.pdf(2022年4月13日閲覧)


※4 日本ドック学会:尿検査
https://www.ningen-dock.jp/public/inspection/urinalysis(2022年4月13日閲覧)


※5 厚生労働省:e-ヘルスネット糖尿病
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-002.html(2022年4月13日閲覧)


糖尿病ネットワーク
https://dm-net.co.jp/(2022年4月13日閲覧)

国立国際医療研究センター:糖尿病情報センター
https://dmic.ncgm.go.jp/(2022年4月13日閲覧)

宮崎滋(みやざき しげる)

宮崎滋
(みやざき しげる)

公益財団法人結核予防会総合健診推進センター所長
https://www.ichiken.org/
東京医科歯科大学卒業後、都立墨東病院、東京逓信病院等勤務を経て、2004年に東京医科歯科大学臨床教授に就任。以降、東京逓信病院副院長、新山手病院生活習慣病センター長を歴任し、2015年より現職。日本医学会評議員をはじめ、日本内科学会、日本肥満学会(名誉会員)、日本糖尿病学会(功労評議員)、日本生活習慣病予防協会(理事長)、日本肥満症予防協会(副理事長)などを務めている。