「栄養成分表示」をかしこく利用! ダイエット時のコンビニ食の選び方

「栄養成分表示」をかしこく利用!
ダイエット時のコンビニ食の選び方

もしもの時のための保険を備えませんか?

ダイエットするなら食生活の見直しは欠かせません。しかし、「帰宅が遅く、毎日自炊するのは無理」「そもそも料理なんてつくれない」など理由から、「食べる量を極端に減らす断食系」もしくは「ひたすら○○だけを食べ続けるオンリー系」のダイエットをしている人もいます。
しかし、ダイエットを長続きさせるなら、偏ったダイエット方法は逆効果。また、「自炊して細かく摂取エネルギー量や栄養の計算が必要」という固定観念にしばられる必要もありません。コンビニエンスストア(以下、コンビニ)のお弁当やお惣菜をかしこく利用すれば、忙しい人でも料理が苦手な人でも栄養バランスのとれたダイエットができます。

コンビニ食で効果的なダイエットをするには?

コンビニ食で効果的なダイエットをするには?

自炊ダイエットをする場合、スーパーで買ってきた肉の量や使った野菜の量、調味料などの重さを量ってエネルギーや栄養を計算する手間が必要になります。この手間は慣れるまでかなり大変です。料理も得て不得手がありますし、毎食つくり続けると思うと、料理をつくるのがおっくうだと感じる人もいるでしょう。

これに対し、コンビニ食の大きな利点はすでに栄養成分表示があることです。栄養成分表示とは「容器包装に入れられた加工食品および添加物表示されている、食品に含まれる栄養成分に関する情報」(消費者庁)を指します。ここに表示される内容には決まりがあり、次のような情報が明記されています。

表示が義務づけられている栄養成分
熱量(カロリー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量で表示)
表示が推奨されている栄養成分
飽和脂肪酸、食物繊維
任意で表示されている栄養成分
ミネラル(亜鉛、カリウム、カルシウムなど)、ビタミン(ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンCなど)など

コンビニ食を購入するときには、お弁当のフタやお惣菜などのパッケージを探してみましょう。
【コンビニ食の栄養成分表示(例:弁当)】

栄養成分表示 1包装あたり(推定値)
熱量 600kcal
たんぱく質 30g
脂質 20g
炭水化物 80g
食塩相当量 2.8g

ダイエットをするならこの栄養素に注目しよう

ダイエットをするならこの栄養素に注目しよう

コンビニのお弁当やお惣菜を購入する際に栄養成分表示で注目したいのは、主に次の2つです。

○エネルギー(熱量)

エネルギーは、身体を動かすために必要な燃料ですが、生命を維持する、考えるなど、生きているだけでも消費しています。1日に使うエネルギーよりも摂取するエネルギーが多くなると、余った分が身体に蓄積し、肥満になります。簡単にいえば、とった食事のエネルギーを足したものが1日に必要なエネルギー量以下になれば、自然と蓄積した脂肪が燃料として使われ、肥満を改善することができます。

1日に必要なエネルギー量は、一般的な成人女性の場合は1,400〜2,000kcal、男性は2,000〜2,400kcal程度が目安です。ただし、これはあくまでも目安。年齢や身体活動(仕事や生活環境)の程度などによって条件は異なります。

○糖質(炭水化物)

炭水化物から食物繊維を除いたものが糖質です。糖質は身体や脳の活動エネルギー源になるため、必要なものではありますが、脂肪を蓄える働きのある血糖を上昇させるため、とりすぎに注意したい成分です。

近年、食品に「糖類ゼロ」をうたうものが増えていますが、糖類と糖質は異なるものなので注意しましょう。「糖質ゼロ」は、糖質を含んでいませんが、「糖類ゼロ」の場合は、糖類に分類されないオリゴ糖やキシリトール(糖質)などを含んでいることが多く、エネルギーもあります。また、「糖質ゼロ」も「糖類ゼロ」も100g中の含有量が0.5g未満であれば、「ゼロ」と表示することが認められています。そのため、「ゼロ」のものでも実際には含まれているケースが多いので、気になる人は栄養成分表示で確認しましょう。

【糖質とは?】

炭水化物 食物繊維 難消化性デキストリン、セルロースなど
糖質 三糖質以上 オリゴ糖、デキストリンなど
糖アルコール キシリトールなど
その他 アセスルファムKなどの甘味料
糖類 二糖類 砂糖、乳糖、麦芽糖
単糖類 ブドウ糖、果糖

自分の肥満度を把握しよう

次にダイエットするにあたり、自分がどれくらいやせればよいのかを知りましょう。よく知られている方法として肥満度を示すBMI(Body Mass Index)数値があります。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)=BMI
BMIの標準値は22といわれています。

【日本肥満学会によるBMIの肥満度判定】

低体重(やせ) 18.5未満
普通体重 18.5以上25未満
肥満 25以上

自分のいまのBMIが25以上なら、①どのくらいやせればいいのか(やせたいのか)、②1日の摂取エネルギーをどのくらいに設定するのか、③いつまでに目標のBMIを達成したいのかなどを決めていきましょう。

「たんぱく質」>「糖質」を心がけて健康的にダイエット

摂取エネルギーを制限するだけでは、健康的にやせることはできません。逆にエネルギー消費がもっとも多い筋肉量が減り、身体が生命の危機を感じて脂質をため込もうとするため、なかなか体重が落ちなくなります。

そのため、ダイエットの際には次の4つのポイントを押さえましょう。

糖質量を制限する

「たんぱく質」>「糖質」を心がけて健康的にダイエット

摂取する糖質が多すぎると、エネルギーとして消費できなかった分は中性脂肪として身体にたまります。ダイエットをするなら、1日にとる糖質量を低めに設定しましょう。目安は1食20〜40g、1日70〜130gです。甘いおやつや飲み物をやめるだけでも大幅にカットできます。また、白米を玄米に、食パンをライ麦パンに変えることで食物繊維の摂取量が増え、糖質を減らすことができます。

コンビニでは「ロカボ」や「低糖質」と表示された低糖質商品が増えています。これらの商品を上手に活用しましょう。

【食品に含まれる糖質量(目安)】

8枚切り食パン1枚 20g
梅干しおにぎり100g 55.2g
牛丼(白米ご飯250g) 107.8g
スパゲッティミートソース80g 70.2g
サラダチキン80〜120g 0〜2.1

たんぱく質を積極的にとる

たんぱく質は筋肉量を維持、増加させるのに必要な栄養素です。運動と組み合わせることで筋肉量が増え、基礎代謝のアップが期待できます。たんぱく質は、髪や肌などをすこやかに保つためにも必要です。たんぱく質が豊富なのは、肉類や魚、卵、牛乳、豆腐などです。

糖質が少なく、たんぱく質が豊富なことで人気のサラダチキンはコンビニでも購入できます。

ビタミンやミネラルを枯渇させない

エネルギーを効率よく燃やす潤滑油となるのがビタミンやミネラルです。コンビニで購入できるものでは、海藻入りサラダや具だくさんスープ(味噌汁)などがあります。海藻は食物繊維が豊富で、便秘がちな人にもおすすめです。

体温を上げて代謝をアップする

体温は、1℃の上昇で基礎代謝量が13%増加するといわれています。運動で身体を動かすことはもちろん、筋肉量を増やす、冷たい飲み物を避ける、しょうが、たまねぎ、にんにくなどを毎日の食事に取り入れて血行をよくすることは、ダイエットにも効果的です。

また、体温が上昇すると免疫力もアップします。健康的なダイエットの強い味方です。

ここがポイント!

  • コンビニで栄養成分表示をじっくり読む
  • まずはBMI25未満を目指そう
  • 1日(1食)にとるエネルギーやBMI値などの目標を立てよう
  • たんぱく質不足に注意
  • 糖質は1日70〜130gを目安に
  • 運動や体温上昇で相乗効果を狙おう

参考資料

平澤芳恵:カラダにやさしいコンビニごはん.小学館,2021.
山岸昌一:パッと探せる!糖質量ハンドブック 食材・料理1420.西東社,2018.
消費者庁:栄養成分表示
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/assets/food_labeling_cms206_20210318_01.pdf
厚生労働省:特定保健指導の実践定期指導実施者育成プログラム
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info03k-06.pdf
日本医師会:健康の森
https://www.med.or.jp/forest/health/eat/01.html

宮崎滋(みやざき しげる)

宮崎滋
(みやざき しげる)

公益財団法人結核予防会総合健診推進センター所長
https://www.ichiken.org/
東京医科歯科大学卒業後、都立墨東病院、東京逓信病院等勤務を経て、2004年に東京医科歯科大学臨床教授に就任。以降、東京逓信病院副院長、新山手病院生活習慣病センター長を歴任し、2015年より現職。日本医学会評議員をはじめ、日本内科学会、日本肥満学会(名誉会員)、日本糖尿病学会(功労評議員)、日本生活習慣病予防協会(理事長)、日本肥満症予防協会(副理事長)などを務めている。