デスクワークに危険信号!不調は「冷え性」が原因!?改善方法は?温活で予防を!

デスクワークに危険信号!不調は「冷え性」が原因!?
改善方法は?温活で予防を!

最近なんだか疲れがとれない、よく眠れない、吐き気がする、肩こりや腰痛、肌のくすみや目の下のクマも気になる……といった悩みはありませんか?
病院を受診しても「悪いところはみつからない」といわれて途方に暮れている方もいるのではないでしょうか。その症状は、冷え対策で改善するかもしれません。

冷えのぼせや隠れ冷え性が増加中?

昨今、冷えの症状に悩む人が増加しているといわれています。冬だけではなく真夏でも手足がいつも冷たい、いつもだるい、顔だけがのぼせてぼーっとする冷えのぼせなどの症状がみられたら要注意。また冷えを自覚していなくても、平熱が低い「隠れ冷え性」がさまざまな不調の原因になっている可能性もあります。

エアコンの影響で冷え体質に

私たちの身体には、自律神経の働きによって暑いときには汗をかいたり、寒いときには心拍数を上げたりする体温調節機能が備わっています。ところが、現代人はエアコンの普及やストレスなどが原因で、自律神経のバランスが乱れ、上手に体温調節ができなくなる人が増えているといわれています。

とくに女性は、熱を生み出す筋肉が男性よりも少ないため、冷えやすく、エアコンなどの外気温の影響を受けやすいことが知られています。

冷えが続くと免疫力も低下する!

身体が冷えているということは、つまり血行が悪いということ。身体全体に栄養や熱が届きにくく、免疫力や新陳代謝が低下した状態にあります。そのため、いまは病気になっていなくても、冷えの状態が続くことで身体にはさまざまな不調をきたすようになります(表)。

表 冷え性があるとこんな症状が起こりやすい

頭部 抜け毛、白髪、薄毛、頭痛
くすみ・たるみ、のぼせ、シワ、シミ、クマ、ニキビ、乾燥肌、かゆみ
歯周病、歯肉の変色・萎縮・腫れ
ドライアイ、老眼、近眼、疲れ目、かすみ
全身 だるさ、疲れ、めまい、耳鳴り、アレルギー、動悸、ほてり、むくみ、肥満
婦人科系 月経痛、月経不順
消化器系 便秘、下痢
気分 イライラ、不眠、不安感
その他 肩こり、腰痛、関節痛

(厚生労働省:ヘルスケアラボ「冷え」をもとに作成)

今日から始めたい「冷えとり」生活で冷え性を改善

冷え性が原因の症状に心当たりがある人は、今日から身体を温める生活を始めましょう。生活のなかに少し取り入れるだけでも続けていくうちに改善が見込めます。

座っているとき

血行をよくするために、まずは正しい姿勢を心がけます。頭部はとても重く、パソコン作業やスマートフォンの操作などで猫背になって身体より前に頭を突き出しがちですが、これは首や肩、腰に大きな負担がかかります(図1)。重い頭を支えようとして筋肉が硬直し、血行を妨げてしまうのです。

図1 パソコン操作時の正しい姿勢

図1 パソコン操作時の正しい姿勢

座り姿勢だけでなく、デスクワークで長時間座りっぱなしの状態も禁物。お尻や太ももの筋肉が硬くなって血行が悪くなります。それが下半身の冷えを悪化させる原因になるため、ときどき立ち上がってお尻や太ももを伸ばしましょう。

立っているとき

座っているときだけでなく、立っているときも重い頭を体幹で支えるように意識して姿勢を保ちます。

あごを引きまっすぐ前を見たときに耳の穴と肩の先、中指、くるぶしが一直線になるような立ち姿勢を心がけます(図2)。正しい姿勢を保とうとすると、腹筋や背筋に自然に力が入るので、筋力アップにもつながります。

図2 正しい立ち姿勢

図2 正しい立ち姿勢

効果的に温めるならここ!

手足の先が冷えているときに、その部分だけを温めるのは得策ではありません。全身の血行をよくして、手先や足先に温められた血液が行き渡るようにするほうが効果的です。

温める場所は大きな血管が通っている部位を目安にします。おなかや太ももは血流や筋肉量が多く、すばやく全身が温まるのでおすすめです。使い捨てカイロを貼る場合は、毛布などで腰まわりをくるむことでより温め効果がアップします(図3)。

また腰や背中を温めると自律神経の働きが活発になるので、体温が上がりやすくなります。

図3 使い捨てカイロで温めると効果的な場所

図3 使い捨てカイロで温めると効果的な場所

シャワーやドライヤーでピンポイントに

首の後ろや足首には、身体を温める効果があるツボがあります。ここを刺激することで身体全体を温めることができます。

温かいシャワーや、少し熱いと感じるくらいのドライヤーの風を1〜2分当てましょう。濡らしたタオルを電子レンジで温めて、目や首、肩に乗せるだけでも血行がよくなってポカポカに。

冷えのぼせはストレッチによる血行改善が効果的

とくに冷えやすい下半身は、身体を動かすことで血行を改善させることが大切。冷えのぼせの人も、血行がよくなることでのぼせが軽減し、動くことで代謝もよくなるので一石二鳥です。

オフィスなどで座ったままできる方法に、筋肉のマッサージがあります。
太ももやふくらはぎなど、大きな筋肉がある場所を両手でギュッとつかんで離すことを繰り返すと、血流がよくなります。また、机の下でつま先立ちや、足を浮かせて、ひざを曲げ伸ばししたり、足首をまわしたりするのも効果的です。

また、片足ずつ椅子の上で正座をすると、太ももの前面の大きな筋肉を伸ばすことができます。上半身は肩や首をグルグルまわすだけでも血行がよくなりますが、腕まわしや背伸びなど、立ち上がって全身を動かすと効果が倍増します。これらの運動を1時間に1回短い時間でよいので行いましょう。

深呼吸で代謝アップ

身体を温めるうえで呼吸はとても重要です。日常的に意識していないと、胸だけの浅い呼吸になりやすいため、気づいたときに腹式呼吸をとり入れるようにしましょう。

呼吸は吸うときが重要だと思われがちですが、息を吐くことで副交感神経の働きが優位になるため、リラックス効果も得られます。緊張がほぐれた身体は、血流がよくなって、全身の代謝アップも期待できます。

【効果的な腹式呼吸の方法】

  • おへその下に手を当てて、おなかの動きに集中する。吸えるだけの空気を吸いおなかを膨らませる(5秒)
  • 10秒かけて吸った息を、限界までゆっくり吐ききる
  • これを10回繰り返す

朝や寝る前だけでなく、冷えを感じたときや緊張しているとき、イライラしたときなど、いつでもどこでもゆっくりと10回程度腹式呼吸をするだけで身体が心地よくゆるんで、温まってきます。毎日の温活で病気や不調に負けない身体を目指しましょう。

ここがポイント!

  • 正しい姿勢で筋肉のこりをとる
  • おなかや腰にカイロを貼る
  • シャワーやドライヤーで温ツボを刺激
  • すき間時間の血行促進ストレッチ
  • いつでもどこでも腹式呼吸

引用・参考資料

※厚生労働省:ヘルスケアラボ「冷え」
https://w-health.jp/woman_trouble/cold/

石原新菜:オトナ女子のカラダあたためBOOK.辰巳出版,2017.
川島朗:その不調、冷えが原因です.池田書店,2018.

吉丸真澄(よしまる ますみ)

吉丸真澄
(よしまる ますみ)

吉丸女性ヘルスケアクリニック院長
https://yoshimaru-womens.com/
金沢大学医学部卒業後、国立病院機構東京医療センター、東京歯科大学市川総合病院に勤務。2012年に東京歯科大学市川総合病院産婦人科助教に就任。2020年に吉丸女性ヘルスクリニックを開業。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医、日本抗加齢医学会認定抗加齢専門医、日本医師会認定健康スポーツ医、NR・サプリメントアドバイザー