年末年始にメタボ太りにならないための対策

年末年始にメタボ太りにならないための対策

年末年始は、忘年会や新年会、帰省など、普段よりも食事や飲酒の機会が増え、ついつい食べ過ぎたり飲み過ぎたりしてしまいがちで、体重増加のリスクが高まります。

今回は、年末年始を健康的に乗り切るために、おすすめのメタボ対策をご紹介します。

糖尿病とメタボリックシンドロームの関係性

なぜ肥満を防がないといけないのでしょうか?それは肥満が恐ろしい生活習慣病である糖尿病と深く関わっているためです。

 

糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)の濃度が高くなる病気です。 血糖が高い状態が長期間続くと、血管や神経に障害を起こし、目や腎臓、心臓、脳などの重要な臓器に悪影響を及ぼします。 糖尿病の原因の一つに、肥満があります。 肥満は、体内の脂肪細胞(特に内臓脂肪細胞)が増えることで、インスリンという血糖を下げるホルモンの働きを妨げます。 これをインスリン抵抗性といいます。 インスリン抵抗性が高まると、血糖が上がりやすくなり、糖尿病の発症リスクが高まります。

 

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪が蓄積し、血圧や血糖、血中脂質などが異常になる状態です。 メタボリックシンドロームは、糖尿病や心臓病、脳卒中などの生活習慣病の原因になります。 メタボリックシンドロームの診断基準は、男性でウエスト周囲径が85cm以上、女性で90cm以上であることに加え、血圧、血糖、血中脂質のうち2項目以上が基準値を超えていることです。

 

表. メタボリックシンドロームの診断基準※1
 

必須項目 (内臓脂肪蓄積)
ウエスト周囲径
男性 ≥ 85cm
女性 ≥ 90cm
内臓脂肪面積 男女ともに≥100cm2に相当
選択項目
3項目のうち
2項目以上
1. 高トリグリセライド血症
かつ/または
低HDLコレステロール血症
≥ 150mg/dL

< 40mg/dL
2. 収縮期(最大)血圧
かつ/または
拡張期(最小)血圧
≥ 130mmHg

≥ 85mmHg
3. 空腹時高血糖 ≥ 110mg/dL

 

糖尿病は、メタボリックシンドロームが進行して生じますし、メタボリックシンドロームは、糖尿病の悪化の要因になります。また、糖尿病とメタボリックシンドロームは、肥満や運動不足、食生活の乱れなどの共通の原因を持ちます。 したがって、年末年始のメタボ対策は、糖尿病とメタボリックシンドロームの予防や改善に有効です。

年末年始のメタボ対策

年末年始のメタボ対策は、食事と運動の2つの側面から考えることができます。 食事では、カロリーの摂取量を抑えるとともに、栄養バランスを整えることが重要です。 運動では、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせることで、脂肪燃焼と筋肉増強を目指します。

食事のポイント

食事の時間はなるべく規則正しく、食べ過ぎないようにします。 食事の時間が遅れるときは、間食をしてお腹を満たしておきます。 間食には、低カロリーで食物繊維やタンパク質が豊富な食品を選びます。 例えば、ヨーグルトやナッツ、果物などがおすすめです。


食事の量は、一日に摂取するカロリーを基準に決めます。 一般的に、女性は1400〜2000kcal、男性は2200kcal±200kcalが一日に必要なカロリーです。※2このカロリーを、朝・昼・夕の三食に分けて、食事の量を調整します。食事の量を測るときは、目安として手のひらや拳などを使うと便利です。


食事は、炭水化物、蛋白質 脂質の三大栄養素をバランスよく摂取します。炭水化物は、精製されていない玄米や全粒粉などの食物繊維が多いものを選びます。 タンパク質は、魚や肉、卵、大豆製品などをバランスよく摂ります。 脂質は、植物性のオリーブ油やナッツ油などの不飽和脂肪酸が多いものを選びます。野菜は、色や種類を多く取り入れることで、ビタミンやミネラルなどの栄養素を摂れます。


食事の際は、ゆっくりとよく噛んで食べるようにします。 食べる速度が速いと、満腹中枢が働く前に食べ過ぎてしまうおそれがあります。食べる速度を遅くするためには、一口に小さく切って食べたり、食べるたびに箸やフォークを置いたり、水分を摂ったりするなどの工夫ができます。


食事の味付けは、塩分や糖分、油分を控えめにします。 塩分や糖分、油分が多いと、血圧や血糖、血中脂質などが上昇しやすくなります。 また、味付けが濃いと、食欲が増進し、食べ過ぎにつながります。 味付けを控えめにするためには、醤油や味噌、マヨネーズなどの調味料を少なくしたり、酢やレモン汁、ハーブやスパイスなどで風味をつけたりするなどの工夫ができます。


年末年始はお酒を飲む機会の多い時期です。アルコールはカロリーが高く、肝臓に負担をかけます。 また、アルコールは、食欲を増やしたり、判断力や自制心を低下させたりすることで、食べ過ぎにつながります。 飲み物を選ぶときは、できるだけ水やお茶などの無糖のものを優先し、ジュースやコーラ、スポーツドリンクなどのカロリーが高い飲み物は控えめにします。 アルコールを飲むときは、量や種類に注意し、おつまみは低カロリーでヘルシーなものを選びます。

運動のポイント

歩くことは、有酸素運動の一つで、脂肪を燃焼させる効果があります。 歩くときは、フォームを意識することも大切です。視線は前を向き、頭は高くして背筋を伸ばします。腕は、肘を90度に曲げて、脚の動きに合わせて前後に振ります。足は、かかとから着地し、足の外側から小指の付け根、親指の付け根へと重心を移動させ、親指で地面を踏み込むようにします。呼吸は、鼻から息を吸ってお腹を膨らませ、口から吐いてお腹をへこませる腹式呼吸を行います。※3


ストレッチは、筋肉や関節の柔軟性を高める効果があります。年末年始は運動する機会が減り、体が固くなりがちです。自宅のリビングや寝室で簡単にできるストレッチをおこなって体調管理をしてみてはいかがでしょうか。まず起床後に全身の筋肉をほぐすために、動的ストレッチを行います。 肩や首、背中、腕、脚などを動かしながら、体温や心拍数を上げていきます。食後には、消化を促進するために、静的ストレッチを行います。 腹筋や背筋、横隔膜などを伸ばして、内臓の働きを活発にします。就寝前には、リラックスするために、静的ストレッチを行います。 首や肩、背中、腰、脚などをゆっくりと伸ばして、緊張をほぐします。※4


筋力トレーニングで筋肉を増やすことで、基礎代謝を高めることができます。 基礎代謝とは、安静時に消費されるエネルギーのことで、基礎代謝が高いと、運動しなくてもカロリーを消費しやすくなります。 スクワット(足を肩幅に開いて、ゆっくりと腰を落とす運動)、腕立て伏せ(床に四つん這いになり、ゆっくりと胸を床に近づける運動)、腹筋(仰向けになり、ゆっくりと体を起こす運動)などを10回〜15回を目安にゆっくり行います。無理のない範囲で行い、痛みを感じたらすぐにやめましょう。また、体調の悪いときは行わないようにしましょう。


筋力トレーニングが難しい場合は、作業活動をしっかり行ってもいいかもしれません。作業活動には、日常生活の中で行う掃除や洗濯、料理などがあります。 作業活動は、運動と同じように、身体を動かすことでカロリーを消費します。腕や指、体幹など、様々な部位を動かすことができます。 また、頭を使うことで、認知機能の維持にも役立つと考えられます。


年末年始のダイエット方法について、ご紹介させていただきました。 年末年始は、食事や運動の管理が難しくなりますが、これらのポイントを意識して、健康的な生活を送りましょう。

年末年始のメタボ対策

12月になり年の瀬も近づいてだいぶ寒くなってきましたが、そんな時はヘルシーなお鍋で胃腸を温めていきましょう!

最近はお鍋にもたくさんの味付けが増えてきました。いろいろ変化を楽しみながら、お家で暖まりたいですね。

 

スパイスは身体を温めますが、胃腸の調子が悪い時は香辛料は控えめに。あっさり水炊きや和風、魚介だし、豆乳鍋もいいですね。またお鍋以外にも、消化に優しい卵とじうどんやお雑炊などもおすすめです。

・旬の食材(カキ)

「海のミルク」と呼ばれるほど栄養がたくさんあります。たんぱく質や鉄分、カルシウムなどを豊富に含みます。

 

おすすめ、冬が旬の食材

白菜、ほうれん草、大根などの、冬が旬の野菜は、糖度が高くビタミンやカロテンなどの栄養価を多く含んでいます。具だくさんのみそ汁や、お鍋にもおすすめです。しっかり食べて、風邪を予防していきましょう!


グラタンやシチューもおすすめです★

牛乳やカキ、バター、ほうれん草などおいしくいただけます。カロリーを気にされる時は野菜を多めにしたり、小さいココット皿もいいですね!

おいしく食べよう!ダイエットのコツ

年末年始は外食の機会も増え、体重が増えやすい時期です。内臓脂肪が増えやすいので、体重増加を抑えていきましょう!

1.よくかんで食べる。


2.お話をしながらなど、ゆっくり楽しんで食べる。


3.野菜から食べる。


4.豆腐やお肉の分量に注意。


5.締めの麺類・雑炊の量や塩分などに注意。

ここがポイント!

  • 食事では、カロリーの摂取量を抑えるとともに、栄養バランスを整えることが重要です。
  • 運動では、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせることで、脂肪燃焼と筋肉増強を目指します。

引用・参考資料

 

※1 e-ヘルスネット:メタボリックシンドロームの診断基準

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-003.html(2023年11月10日閲覧)

※2 農林水産省:みんなの食育 一日に必要なエネルギー量と摂取の目安

https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/about/required.html(2023年11月10日閲覧)

※3 公益財団法人長寿科学振興財団:健康長寿ネット ウォーキングの効果と方法

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/walking.html(2023年11月10日閲覧)

※4 公益財団法人長寿科学振興財団:健康長寿ネット ストレッチングの目的・効果・種類

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/stretching.html(2023年11月10日閲覧)

冨永 洋一  (とみなが よういち)

冨永 洋一
(とみなが よういち)

社会医療法人愛仁会 愛仁会総合健康センター 所長

 

神戸大学医学部卒業。神戸大学医学部第二内科(現 糖尿病内分泌内科)入局。神戸大学医学部附属病院内科、兵庫県立加古川病院内科、城陽江尻病院内科、神戸海岸病院内科、独立行政法人国立病院機構兵庫中央病院内科、社会医療法人愛仁会高槻病院 糖尿病・内分泌内科勤務を経て、現在社会医療法人愛仁会 愛仁会総合健康センター所長を務める。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、人間ドック健診専門医、日医認定産業医、医学博士。