働き盛り・子育て世代に必要な栄養素はコレ!賢いサプリメントの選び方

働き盛り・子育て世代に必要な栄養素はコレ!
賢いサプリメントの選び方

健康な身体を維持するには、必要な栄養素をしっかりと摂取することが大切です。しかし、仕事に家事にと忙しい毎日を送るなか、食事だけで十分な栄養素をとりきるのは簡単なことではありません。そんなときに役立つのがサプリメントです。

 

サプリメントは、不足しがちな栄養素をピンポイントで摂取できる便利な食品です。今回は、20〜40代の働き盛り・子育て世代を中心に、サプリメント選びのポイントについて紹介します。

ビタミンやミネラルなど不足しがちな栄養素をサプリメントで補うポイント

サプリメントは、不足する栄養素を補うために使われるものです。賢くサプリメントを利用するには、まず、人間の身体にはどのような栄養素が必要なのかを知っておく必要があります。

【人体に必要な主な栄養素(五大栄養素)】

炭水化物 炭水化物は糖質と食物繊維の2つで構成される栄養素。糖質は、脳や筋肉を動かす際のエネルギー源になる(1gあたり4kcal)
たんぱく質 たんぱく質は、皮膚や筋肉、臓器をはじめとした人間の身体の材料となる栄養素。エネルギー源として使われることもある(1gあたり4kcal)
脂質 脂質は、もっとも効率のよいエネルギー源。細胞膜や神経、ホルモンなどの材料にもなる(1gあたり9kcal)
ビタミン ビタミンは、身体の調子を整えて機能を正常に保つ働きをする栄養素。水に溶けやすい水溶性ビタミンと脂に溶ける脂溶性ビタミンがある
ミネラル ミネラルは、身体をつくる材料としての役割や、身体の機能を正常に保つ働きを持つ栄養素

 

これらの栄養素は、五大栄養素といわれ、それぞれに関係し合いながら身体をつくり、調子を整え、エネルギーを生み出す働きをしています。どれか1つが欠けても、健康を維持することはできません。理想的な栄養摂取の基本は「五大栄養素をバランスよくとること」だと覚えておきましょう。

サプリメントを上手に活用しよう~男性・女性・働き盛り・子育て世代におすすめの栄養素

20〜40代というのは、仕事が忙しくなり、結婚などでライフスタイルが大きく変化する年齢です。仕事・家事などに追われると、生活習慣が乱れる人が増えてきます。とくに食事面では、外食や中食が増え、野菜の摂取量が少なくなりがちです※1。そのため、ビタミンやミネラルが不足しやすくなります。

〇ビタミン(ビタミンB群、ビタミンC)

ビタミンのほとんどは体内ではつくることができないため、食事で摂取する必要があります。なかでも、水溶性ビタミンであるビタミンB群とビタミンCは、一度にたくさん摂取しても蓄積されずに尿と一緒に排泄されてしまうので、毎日しっかりとることが大切です。

野菜不足になるとビタミンCが、食生活全体が乱れるとビタミンB群が不足しやすくなります。ビタミンB群やビタミンC単独のものに加え、多種類のビタミンが入ったマルチビタミン系のサプリメントで補うのもひとつの方法です。ただし、脂溶性ビタミンのビタミンA、D、E、Kは過剰に摂取すると健康を害することもあります。とりすぎには注意しましょう。

    〇ミネラル(亜鉛、カルシウム、マグネシウム、鉄)

ビタミンと同様にミネラルも体内ではつくることができない栄養素です。現代の日本人は、慢性的なミネラル不足と言われており、とくに亜鉛、カルシウム、マグネシウム、鉄などが足りていないと指摘されています。ビタミンと同じように、多種類のミネラルが入ったマルチミネラルというサプリメントも販売されています。

 

また、20代後半ぐらいから少しずつ気になりはじめるのが、体力の低下や老化です。さまざまな悩みに応じてサプリメントを活用するとよいでしょう。機能性のある栄養素の一例を紹介します。

 

抗酸化力の高い栄養素(ポリフェノール、βカロテン、リコピン、コエンザイムQ10) 酸化(サビ)を抑える力(抗酸化力)を持つ主な栄養素として、ビタミンCやビタミンEのほか、ポリフェノール、βカロテン、リコピン、コエンザイムQ10などがある
リラックスしたい人向けの栄養素(GABA) 仕事や育児などで忙しい毎日が続き、リラックスしたい人には、GABAなどがおすすめ
年齢が気になる人向けの栄養素(コラーゲン) ハリ力を高めたい人に向けにコラーゲンなどのサプリメントがある
ぼやけが気になる人向けの栄養素(アントシアニン、ルテイン) ぼやけなどが気になる人向けにブルーベリーなどに含まれるアントシアニン、抗酸化物質のひとつであるルテインなどのサプリメントがある

 

20〜40代は、出産、子育てを経験する人が多い世代です。妊娠・出産を考えている人に推奨されている栄養素に葉酸があります。葉酸は、胎児にとって重要な成分で、妊娠前後の十分な葉酸の摂取が神経管閉鎖障害などのリスクの軽減になることが知られています。このほか、妊娠・出産を控える人は、ビタミンDやビタミンC、カルシウムや鉄などの不足に注意しましょう。

サプリメントのパッケージはここに注目しよう

生活環境や食習慣などによって必要な栄養素には個人差があります。サプリメントを選ぶ場合は、上記の栄養素を中心に、自分に合うものをみつけましょう。

 

一方で、サプリメントにはたくさんの種類があり「どれを選べばよいかわからない」という人も多いかもしれません。そんなときには、保健機能食品の表示が参考になります。保健機能食品とは、健康食品と呼ばれるもののなかで、国が定めた安全性や有効性に関する基準に従って食品の機能が表示されている食品のことです。現在、日本には3種類の保健機能食品があります。

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(消費者庁:「機能性表示食品」って何?より引用※2

 

特定保健用食品
(トクホ)
健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められている食品。表示されている効果や安全性については、国が審査を行い、表示を許可している
栄養機能食品 健康に役立つことが科学的に確認されている栄養成分(ビタミンやミネラルなど)の補給のために利用する食品。対象の栄養成分が一定量以上含まれていれば、国の定めた表現に沿って機能性を表示することができる
機能性表示食品 企業や生産者の責任において健康への効果や機能性を表示した食品。企業や生産者は、表示する効果や機能性の科学的根拠を消費者庁長官へ届け出ることで、表示が可能になる

 

サプリメント選びに迷っている人は、保健機能食品の表示を探してみるのも一案です。保健機能食品は、パッケージにその種類や効果・機能性、注意事項などが記載されていますので、その内容をよく読んでから利用しましょう。

 

ただし、保健機能食品を含むサプリメントは医薬品とは異なり、病気の治療のために摂取するものではありません。とくに治療のために薬を服用している場合には、飲み合わせによって薬の効果が強く出すぎてしまったり、弱まってしまったりすることがあります。サプリメントを利用する前に、医師や薬剤師に相談しましょう。

ここがポイント

  • 栄養摂取の基本は五大栄養素をバランスよくとること
  • 働き盛り・子育て世代に不足しがちな栄養素がある
  • サプリメントで迷ったら、保健機能食品の表示を参考に
  • 薬による治療を受けている人は医師や薬剤師に相談してから利用する

 

引用・参考資料


※1 厚生労働省:令和元年 国民健康・栄養調査報告

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/r1-houkoku_00002.html

 

※2 消費者庁:「機能性表示食品」って何?

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/about_foods_with_function_claims/pdf/150810_1.pdf

 

農林水産省:実践食育ナビ 栄養素と食事バランスガイドとの関係 食事バランスガイドと従来の分類法との関連

https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/balance/guide.html

神奈川県:未病の改善について詳しく知る 基本となる5つの栄養素(五大栄養素)をバランスよくとろう!

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/mv4/kenken/contents02.html

厚生労働省:令和元年国民健康・栄養調査結果の概要

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf

消費者庁:栄養成分表示とは? 表示を確認して、保健機能食品を適切に利用しましょう

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/pdf/health_promotion_180615_0005.pdf

日本医師会:健康の森 気になるコトバ「機能性表示食品」

https://www.med.or.jp/forest/keyword/kinousei/02.html

田村佳奈美(たむら かなみ)

田村佳奈美
(たむら かなみ)

福島学院大学短期大学部食物栄養学科講師
http://www.fukushima-college.ac.jp/
福島女子短期大学(現:福島学院大学短期大学部)食物栄養科卒業。1993年に管理栄養士の資格を取得し、福島労災病院でNSTディレクターなどを務める。現在は福島学院大学短期大学部食物栄養学科講師として学生の指導に携わるほか、医療機関での患者指導の経験を活かし、クリニックや調剤薬局での栄養指導、「食」「健康」に関わる講演活動など、幅広く活躍している。